桜花舞うとき、きみを想う



どうやら宮崎さんは、ぼくをしごくためにこの部屋に連れ込んだわけではなさそうだとわかると、ぼくは全身の力が抜け、今にも腰からくだけ落ちてしまいそうなほど安心した。

しばらく宮崎さんの動きを見守っていると、5つめの箱を開けたとき、動きが一瞬止まり、

「これだ」

と小さい呟きが聞こえた。

腰を上げた宮崎さんが無言で差し出した手には、カルミンが握られていた。

「探していたのはこれだろう」

「はい。ですが」

「持って行け」

「でも」

「またこんなことされちゃ困るからだ。おまえが失敗すれば、その責任が俺に降り掛かるんだぞ。下手すりゃ仲間にも飛び火だ。今後はそういうことを自覚したうえで行動してくれ」

「……わかりました。ありがとうございます」

ぼくが神妙にカルミンを受け取ると、宮崎さんは近くにあった木箱をぼくに寄越した。

「ちょっと座れ」