「実は、菓子を探していました」
ぼくはか細い声で言った。
「菓子?」
「カルミンです。あの、ご存知でしょうか、薄荷味の。船には菓子類がたくさん積まれていると聞いて、もしかしたらあるのではと」
宮崎さんは眉を寄せ、ますます訝しげな表情をした。
「カルミンは、その、妻との思い出の味でして、菓子の話を聞いたら急に懐かしくなってしまって、それで、いてもたってもいられなくなりまして」
しどろもどろなぼくの回答を、宮崎さんが遮った。
「カルミンが見つかったら、どうするつもりだった」
「え」
「そのまま持ち出すつもりではなかったのか」
ぼくは、何も言えなかった。


