桜花舞うとき、きみを想う



「ここで何をしているんだ」

「申し訳ありませんっ!」

ぼくは相手の顔も見ず、勢いよく頭を下げた。

しかしすぐに、その声に覚えがあることに気付き顔を上げると、目の前に立っていたのは主計長の宮崎さんだった。

「保管庫の明かりがついていたと報告を受けて、様子を見に来てみれば。まさか中園とはね」



宮崎さんは、険しい顔つきでぼくを見ていた。

「こんな時間に、ここで何をしていた」

「違うんです。自分は決して食料を盗もうなどとは」

「そんなこと言っていないよ。何をしていたと聞いている」

「主計長、違うんです、自分は……信じてください」

「答えろ!」

宮崎さんの怒声に、ぼくは体をびくりと震わせた。