案内された部屋は狭く、2段ベッドが2つ置かれているだけの4人部屋だった。
「甘やかすのは今日だけだ。明日からは他の兵と同じように激務だからな。しっかり疲れを取れ」
「はい」
「それと」
一旦部屋を出かけた宮崎さんは、振り向きざま、にわかに厳しい顔つきになり、
「磯貝には気をつけたほうがいい」
と言い、ぼくの反応を待たず部屋を出た。
(磯貝さんに?)
ぼくの頭に、豪快ながらも面倒見のいい磯貝さんの顔が浮かんだ。
あの人の、一体どこに警戒せねばならないところがあるのだろうか。
けれど疑問を投げかける相手はすでに部屋を後にしており、ぼくはひとり、首を傾げた。
やがてぼくは、使っていいと言われた、入って右側の下の段に滑り込むようにして寝転び、目を閉じた。