きみはぼくの体に沿うように横になると、そのまま身じろぎもせず、黙っていた。
「どうしたの」
愚問だったが、何か言わないと緊張でどうかなってしまいそうだった。
妻なのに緊張だなんて、我ながら不自然だ。
「この間は、ごめんなさい」
きみは、ぼくの背中にしがみつくようにきつく体を寄せていた。
肩甲骨の辺りに、息のぬくもりを感じた。
「わたし、あなたのこと役立たずだなんて馬鹿にするようなことを言って、後悔しているの」
「アヤ子」
「あなたは役立たずどころか、いつもわたしの傍で支えてくれているのに、映画を見に行きたいと言っただけであんなふうに言われたんだもの、腹を立てて当然だわ」
「もういいよ」
ぼくは布団の中で体を捻って、きみと向かい合った。


