桜花舞うとき、きみを想う



それから2日間、ぼくらはほとんど口をきくことなく過ごした。

ぼくは何より、危機感がない役立たずと言われたことが腹立たしくて、絶対に自分から折れたりしないと決めていた。

そのときのきみの心理など、ちっとも考えなかった。



父も母は、視線さえ合わせようとしないぼくらを見て心配した。

とりわけ、おそらくきみから事情を聞いたのであろう母は、

「アヤちゃんだって悪気があったわけじゃないんだから、あんたも意地張ってないで仲直りしなさいな」

とぼくを諭した。

でもぼくは、

「悪気があったってなかったって知るもんか。あれがアヤちゃんの本音ってことだろ」

と、まるで仲直りなどするつもりもなかった。

(謝るのは向こうのほうだ)

母は呆れていたが、周りにとやかく言われるほど、ぼくは意固地になった。