オノマトペ

「……私が弱いから、手を抜いてしまう?」

「そ、そんなことは!」

ただ、拓斗の生まれ持った性質として、どうしても、今一歩踏み切れないところはあるけれど。

リディルはそれを理解したのか、少しだけ思案した後、ふうっと息を吐きだした。

「うん、分かった。じゃあ、あなたに手加減させないように、してみるね」

「え……?」

リディルが低く構えた。

そこから芝生を蹴り、爆発的な瞬発力で拓斗に向かってくる。

「っ!」

その速さに目を見張る。

今までの緩やかな動きとは違う。直線的な動きで、拓斗の懐に潜り込んでくる。

瞬きをする間の、ほんの一瞬の出来事。

それでも、動きは見えていた。

見えていたのに……避ける暇も防御する隙も与えられなかった。

「歯、食いしばって」

拓斗の耳に短い言葉が飛び込んでくるのとほぼ同時に。

リディルの掌底が拓斗の鳩尾を捉えた。