君へ、約束の歌を。<実話元>



「じゃぁ誰〜?!
今も定期入れに貼ってるくらいだから〜…
昔好きだった忘れられない人とか?!」



浴衣を整えながら、チラッと私を見る。



『ううん〜』



軽く首を振って否定した。




祐ちゃんは――…




『…大切な友達なの、その子』




中学で振り切ったハズの、思い出。


閉じ込めたハズの、思い出。



大切な友達<だった>じゃなくて。


…過去形の言葉が出て来なかった自分に。



「その子、って…この子、男の子でしょ?」



クエスチョンマークが、頭の上をぐるぐる回っていそうな友華に。


無理矢理笑みを浮かべてみせた。



帯を締めながら、視線を合わせて。



『その子、女の子だよっ』



私は今まで何回この台詞を口にしたのかなぁなんて、ぼんやり思った。


友華が、ぽかーんと口を開けてるのがおもしろくて。


今度は自然に口角が上がった。



「…うそっっ!!」


『ほんとほんと』