君へ、約束の歌を。<実話元>



「髪形もすごいよね〜。
男子より短くない?」


「よくできるよねー」




…やめてよ。



なんで、そんなこと言われなきゃいけないの…?


黙って…!って言いたいのに、言えない。


どこがいけないの?!って、二人に怒鳴る勇気がない、自分がキライ…

ぎゅっと唇を噛み締める。



…そろそろ、祐ちゃんが戻ってきちゃう。


無理矢理視線を剥がすと、ストップウォッチを持っていない方の手を固く握りしめながら、こっちに近付いて来る祐ちゃんの姿を見つめた。


でも、耳は二人の声を逃がさない。



「あの髪形が自分に似合ってるとか思ってるのかな?」


「ほんと、男みたいだよねー。
あっあれじゃない?
最近テレビでやってた…

性同一性障害?」



うそーっ、きゃははっと、高い声をあげて笑う二人。



…耳を、疑った。



なんで、笑ってるの――…?


なんでそこまで、あんた達なんかに祐ちゃんの事言われなきゃなんないの…?


あんた達に何がわかるわけ…?



沸き上がってくる言葉を飲み込むと同時に、それを押し込めるようにまた唇を噛み締めた時…