とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~

『もし…』とロイが森に向けていた視線をシンディに戻す。



『あの森でソフィアが亡くなったのならば、それは“人”ではない事になるな。』



『“人”ではないとしたら何だと思う?』



『もし悪魔の類いであれば、近くに召喚者が居ないとならない。しかも強い怨念を持った召喚者だ。でもそうではないなら…“精霊”の類いか…』


ロイの答えにシンディは満足そうに小さく笑った。


ウエイトレスがコーヒーを持って来ると、ロイそっとカップを手に取り口を付ける。


『…ネレイス、ウンディーネ、セイレーン…』


『人魚やヒュドラって可能もあるわよ?』



仮にそれらの仕業だと仮定するとして、なにを意味するのだろうか。



ロイは暫しぼんやりと考えたが、すぐにやめた。



…まだ材料が少な過ぎる…




ただ、死因が溺死である以上、水が関係している事だけは否めない。



泉や川ならあの森にも点在するだろう。



『闇雲に探すにしては範囲が広過ぎるな…』



『ええ。まずはこの手帳をヒントに姉の訪れたルートを辿ろうかと思うの。』



そもそも、姉は何故ひとりでこの地を訪れ、何故命を落としたのか。


シンディは彼女が消えたその日から、ずっと気になっていた。


手帳からはソフィアがあの森に魅了される何かを感じていた事がわかる記述が多々あった。


…いったい何に夢中になっていたの?



それを知る事が出来たら、1人寂しくこの世を去った彼女の魂も癒されるのではないか。