『ところで…お前、いいのか?』



『何が?』



『何がって…こんなところに居たらヤバいんじゃないのか?』



そう問いかける右京に虎太郎は『ああ、その事か』と笑う。




『実は…堕天されちゃった。』



『 えっ!?…マジ?』



『マジ!』


天界において極刑とも言える罰を受けたのに、虎太郎は嬉しそうだ。



『つか、天界は今頃大混乱だろうなぁ。』



まさかあのアルテミスが人間に討たれるだなんてゼウスも想定していなかっただろう。



ー“愚かな人間ども”


そう思っていた神々には、人間の科学力は大誤算だったに違いない。



元々虎太郎であるハニエルは、あまり信用されていなかった。



彼は堕天されるだろう事も予想していたし、どちらかといえばそれを望んでいた。



『これで周りにビクビクしないで済むし、気が楽になったよ。』



『こっちは大変だったがな…。』



珍しく愚痴るアランに右京は『悪かった』と謝る。



『あの時は緊急事態だったからさ…』



『まさか衛星5機をジャックしたなんて、揉み消すのに苦労したが…まぁ、その行動は間違ってなかったと思うよ。』



世間では公になっていないが、キラー衛星からの高エネルギー反応は軍を一時震撼させた。