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・☆ リコSide ☆・
―――明かりを落とした夜の学校。
しん、と静まり返っていて、空気が息をひそめているように感じた。
あたしはホラー映画がダメってわけじゃないし、霊感なんてない。
つまり怖がりじゃないってコト。
唯一怖いのは……あたしの隣でポケットに手を突っ込みながらマイペースに歩くこの人…
あたしはちらりと龍崎くんを見上げた。
「川上、怖がりじゃねぇの?『キャー』とか叫んで抱きついてきてもいいぞ?♪
俺がしっかり抱きとめてやる」
両手を広げて龍崎くんはにこにこ。
あたしは白い目で龍崎くんを睨んだ。
どこまで本気だか……
龍崎くんのことだからお化けからは守ってくれそうだけど。
「あ、そだ。俺を響輔だと思えばいいよ♪」
なんて、また変なこと言い出すし。
まぁ、何気に??体形とか声とか似てるけどね…
でも顔も中身も全然響輔さんとは違うもん。
「響輔さんはそんなやらしい目つきじゃないもん」ぷいと顔を逸らすと、
「俺だってやらしい目つきじゃねぇ!」
龍崎くんはちょっと怒った(フリ?)
慣れてきたってのかな。龍崎くんホントは怖い人だけど、でも同じだけ優しい人だって知ってるし…
「さっきのあれさ?くじを変わろうとした女の子たちに怒ったの…あれ、ペアになった男子たちのことを考えたんでしょ?」
ちょっと上目遣いに聞くと、龍崎くんは面白くなさそうに頭の後ろに手をやって顔をそらした。
あたしの問いかけに否定も肯定もしない。
「確かにペアを変わりたいってペアになった相手にはかなり失礼な話だよね。
だからあたしが朔羅と変わろうって言ったときも、同意しなかったんでしょう。
朔羅とペアになった千里のこと考えて」