◆ 反省!? ◆
キョウスケがゆっくりと振り返る。
その整った顔に、一瞬だけ浮かんだ黒い影。
鷹―――の黒い翼。
その黒い翼を飲み込むような赤い炎を纏った
不死鳥の姿を
思い出した。
「キョウスケ、き…気をつけてな―――」
あたしが声を掛けると、キョウスケは僅かに微笑み、
「ありがとうございます。あ、戒さんに言っておいてください。貸してたDS返してくださいって」
「DSって?あのゲームの?分かった、伝えておくよ」
「お願いします」
とキョウスケは挨拶をして、玄関の向こう側、夜の闇の中に消えていった。
―――
キョウスケが外出して、あたしが風呂に入ろうとしていたときだった。
廊下にマクラ(アザラシのぬいぐるみ)が転がっているのに気付いた。
「あれ??マクラ?何でこんなところに」
確かさっきはあたしの部屋にいたはずなのに。まさか家出??
マクラを拾い上げようとして屈むと、マクラはあたしの手に掴まれることなく、
すすす…
と移動した。
へ!?
「マクラ!」
あたしがマクラを追いかけるようまた進み出て拾い上げようとすると、またも
すすす…
マクラは移動しながら、戒の部屋のちょっと開いた襖の隙間から戒の部屋に入っていった。