◆ 隠し事!? ◆
「おぅ!おかえり!!」
玄関のあがりがまちであぐらをかいて座り込んでいた戒が、あたしを見るとぱっと顔を上げて立ち上がった。
今日別れたときに着ていた私服姿だ。帰ってそのままって感じだった。
戒はあたしを見て、安心したように頬を緩める。
「た…ただいま……お前一人…?キョウスケは??」
「あいつらならまだ帰ってない。どうせ帰りの電車が混んでんだろ」
と、戒はそっけなく言って僅かに視線を逸らす。
「そ…そっか」
「「…………」」
ヤバイ!!
沈黙が重い!
「…あ、あのさ!」
重苦しい沈黙を破ったのは戒の方だった。
「は、はい!なんでしょう!!」
ってか、あたし何て受け答えしてんだよ!
これじゃ何かあったってバラしてるもんじゃねぇか。
それでも戒はあたしの不自然さに全然気付いていないのか、バツが悪そうに俯く。
「今日は―――ごめんな。
花火大会一緒に行けなくて」
搾り出すようにつむぎだした言葉に、あたしを気遣う優しさが滲み出ていた。
こいつだって本当は楽しみにしていたのに、あたしの気持ちを優先させてくれて、
だけど心配だったろうに、それをあたしには見せない。
「戒」
あたしは下駄を履いたままの姿で、戒の腰にぎゅっと抱きついた。