◆ 彩芽さん!? ◆
ドクターの女である彩芽さんを探る―――
とは言ったものの……
どうやって探ればいいのか。
戒は―――ドクターの女で、銀座のクラブのママさんをしている彩芽さんが―――
あたしに気を許してるって言ってたけど、実際会ったのは二回だしその二回とも話したのは一時間足らず。
そんなんで急に訪ねていったら絶対変だって。会う口実だってないし。
と、考えること一日。
バイトを終えて、今日は久々リコと千里と三人でファミレスで宿題中。
昨日の夜、千里から電話があって誘われたんだ。リコも一緒にって言ってたから安心してきたわけだけど。
ホントは戒に宿題教えてもらうかな~ってちらっと考えてたけど、やめた。あいつスパルタだもん。
しかもファミレスはエアコン効いてて気持ちいいし♪
田舎に帰ってたって言う千里は少し日焼けしてて、前より少し男っぽくなった感じだ。
久しぶりに会ったからか?
「二人に土産」と言って、くれたのは蛇の形をした変なケータイストラップ。
「蛇かよ!」
あたしの嫌いな動物だ。あの“蛇田”を思い出すからな。
「お前センスねぇな」と思わず言っちまうと、
「うっせぇな。これでもすっげぇ考えたんだぜ?向こうでは白へびさまって言ってなぁ。神様みたいに奉られてるんだ。
すっげぇ縁起ものだぜ」
といつも通り。
「縁起良いって、千里じじくさ~」
リコが意地悪そうに笑って、
「んだとぅ」千里がムキっと怒る。
何か……こんな小さな喧嘩が、すっげぇ平和に思えるよ。
「……花火大会…どーだった…?」
宿題の問題集(数学)のプリントを見ながら、唐突に…千里が聞きづらそうに聞いてきた。
「どうって?どうもねぇよ。ふうー」
あたしは今『円と直線の位置関係』と言う問題がちんぷんかんぷんで目を回してる最中だからな、あんまり千里の話しを真面目に聞いてなかった。
「普通って何だよ。……龍崎と行ったんだろ?」
そう聞かれて、あたしははじめて目を上げた。