電話を切る様子もなく、 まだパジャマのズボンを履いたままのお義母さん。 私は、ビニールハウスの外に出た。 初めて、自分でビニールを破いた。 ポケットに携帯電話と 財布だけ持って、玄関のドアを勢い良く押した。 ランドセルを背負った小学生の列を横目に… 走った。 一目で良いから会いたかった。 彼に。 彼のあの優しい笑顔を見れたなら、 私は、またパワーを充電できるはず。 バス停に着いた時には、もうバスが遠くを走っていた。 もう時間は過ぎていた。 信号、赤になって… そう願いながら走った。