お義母さんのお気に入りの黄緑色と赤の花模様の傘をさす。 左肩だけが濡れる。 いつもの雨の朝なのに 濡れることがいつもより苦痛に感じない。 理由は……… 「バス遅いわね。」 まだ5分前だと言うのに、またバスの時間に不満を漏らす。 機嫌のバロメーターが激しく動く。 白いバス。 黄色い線。 霧吹き程の雨に変わった。 バスの扉の開く音を聞くだけで、私は懐かしい感情を思い出す。