「楽しみだな。早く迎えに行ってやらないと。俺達を待ってるからな。」 はしゃぎ気味の夫がエンジンをかけた。 信号で停まった時、夫の左手が私の右手に触れた。 「何、考えてるんだ?」 私の顔を覗きこんだ夫は、出会った頃の表情に似ていた。 真っ直ぐな道ばかりじゃない。 曲がり角も坂道も渋滞もある。 それが人生。 ようやく私は心から笑えるようになりました。 「犬の名前考えてたの。」 「へえ~、決まった?」 「うん!」