流れる桜の花びらを見つめたまま、手を離した。 さよならと言った田所さんの笑顔は、私の心の中で一生鮮明に残るであろう。 本当に素敵な笑顔をくれた。 別々の道を歩き、一歩も振り向かず家へと向かった。 ずっと逃げてきた。 夫と向き合うことから・・・ お義母さんと分かり合うことから・・・ 田所さん、さようなら。 田所さんありがとう。 田所さんと出逢わなければ、私は「女」であることを忘れ、ただ虚しく生きていくことしか出来なかった。 背中を押してくれた温かい手。 私の心を包み込む優しい人。