恋に焦がれて迷走中

田舎の家というのは壊して建て替えでなく


同じ金額を出してでも手を入れて


直しながら暮らすというのがステイタスのようで、


うちの場合でもそれに違わずに


あちこちリフォ-ムはしてあるが昔のままのたたずまいをしている。


4月に出てきたばかりの家だがひどく懐かしくて恥ずかしい。


「岬ちゃん~!!おかえりい。」


ママのハグ攻撃


「実君もねずっと待ってたんだから。」


ちなみに実君はパパの名前パパは58歳


ママにかかれば誰だって可愛い存在になっちゃう。


ホントはただの頑固おやじなのに。


「ただいまパパ。」


「ああ、お帰り。ちゃんとした生活をしてるんだろうな。」


「はい、香ちゃんに良くしてもらってます。」


「うん、ならいい。ゆっくりしていきなさい。」


パパは恥ずかしがり屋だ。耳まで赤くなって嬉しさでいっぱいなのが分かる。


そんな両親の愛に包まれて暮らすあたしはきっと幸せ者だと思う。


「パパ、あたし悠斗と別れた。」


「そうか。」


とだけ言葉を残したまま部屋を出て行った。