まったくと気付け薬代わりに蹴りあげた。天井まで飛び、ぶつかり、落下。頭頂部に蜘蛛の巣状の亀裂が入り、ぱらぱらと欠ける。


燃えないゴミに相応しい。凄惨なしゃれこうべは、もはや死人にムチ打つさま、オーバーキル過ぎるがこうしても溝出は死なない。


「いつまで寝てん、起きぃ」


――はずだった。


ぴくりとも動かない骨。こうも見れば、ただの白骨体だ。死体にしか思えず、あまりの静けさに冬月が固まる。


生気がなかった。
骨妖怪に人間味など求めないが、溝出からはいつもの活力が滲んでいない。


もともと骨たる溝出がいざ死んだふりをすれば、演技としては上々。しかして、溝出にそれが出来る器用さなどなかった。