いつもそうだ。溝出という噛ませ犬印のサンドバッグをいじめぬいて、思う存分、そのサド属性を発揮する冬月。
切られた時も、折られた時も、砕かれた時だって、犬にあばらを投げられたこともあっては、溝出が恐怖のどん底に叩き落とされる気分になるのも致し方がない。
「ま、まてまて、話を……!弁護士だ、弁護士っ。弁護士を通して話を!」
「また、下らん知恵をつけたん?ほんに、あんさんが使えば阿呆に格下げやわぁ」
「無実だ、むじつっ。それでも俺はやってないだ!」
「いかがわしいこと言いながら、学園内を飛び回っていた騒音噛ませ犬が言うことやありまへんえ。あんさんに守られる人権なんかあるぅ思ってるん?」
さも嘲笑うかのように、溝出の額を踏みつけて。


