出したとしても、周りには分からない。
「そんなに痛いのがええんやねぇ、ザコキャラ」
「ひぃぃぃぃっ」
溝出に絶望の悲鳴をあげさせる顔は狐の笑顔。
単にその者が狐面をつけているだけなのだが、素顔を見たところで、性別不明の年齢不明。灰色の男性着物に、名刀の蜘蛛切りを帯刀した、江戸の街にでもいそうな格好だ。
一見すれば、京都弁を使う、優美な少年(少女)とも思えるが。
「あんさんは懲りまへんなぁ。なにぃすれば、大人しくなるんどすえ?ああ、やっぱり、あんさんの骨ぇ、砕いたあとに肥溜めに入れましょか。ええ肥料にはなるんと違いますぅ?」
Sな部分を惜しげもなく披露する冬月(ふゆつき)は、狐面の素顔が楽しげに笑っているのを連想させた。


