今のところ、その犠牲たる溝出の脊椎。分割されたそれらを渉は律儀にゴミ袋に入れ始めた。


燃えないゴミと認識したわけではなく、溝出を持ち歩くための打開策としてのゴミ袋だった。持つのは渉。冬月だとちょっとした心変わりでゴミ置き場に放置されるのではないかと危惧してのことだ。


脊椎――溝出の一部をしゃれこうべやら肋その他もろもろが入ったゴミ袋に戻そうとした渉だが、秋月に止められた。


「ああ、そこまでせんでもええどす、わたるんはん」


「渉です。いいんですか。起きた時に背骨ないと溝出さんが大変なような気がしますが」


「心配なんていりまへんわ。石臼で原形なくした時も、三日でいつの間にやら戻ったさかいに。どこに放置しようが、溝出が起きれば全て元通りになるんよ。せやから、わたるんはんがこんなザコキャラのために腰を折ることはせんでええんどすえ」