――もし。
もしも溝出に泣いてしまうほど、情を持っていたとしたら?
あり得ないと取り払うも、失った時に初めて分かる愛着もあるんだ。
色々と考えるならいっそ、救うか殺すかで結果を出せばいいも、どちらもできないからこそ、手をこまねるしかなかった。
死ぬ結果はある。しかしていつになることやら。待つ時間が切迫に覆われる。“何もしないこと”がこんなにも歯がゆいだなんて。
「わたるん、やだよぅ。骨とまたがらがらぁって遊びたい……」
溝出を救いたいと声に出せる阿行に、渉はどうしたものかと考える。
「確実に方法があるかは分かりませんが……救済方法を知っていそうな人なら知っています」