「それが溝出さんから何か――恐らくは命を吸い出して喰っています」
「馬鹿にしてるん?」
「するつもりはありません。溝出さんは“呪われて”います。とても、何か……怖いモノに」
言葉にすれば陳腐でも、他に表現しようがなかったのだろう。どうあっても渉には、溝出にくっつくモノが怖いことでしかないのだから。
「いつもなら死なない溝出さんでも、このままじゃ……、根こそぎ食べられます、だから」
繋ごうとする口の前に刀の切っ先が向く。かちゃりと柄を持つ手が僅かに動いた。
「馬鹿にされるんは嫌いなんどすえ。僕とて退治屋、異常なもんは見慣れていますし、見る目も持うてますん。
あんさんはただの都市伝説が好きな風変わりな学生さんやろ?それがなんで、僕には分からんもんが見えるん?」


