これが肉付きのスプラッターならとても正視できたものじゃないが、こうなれば理科室の模型らしく怖さなどない。
なのに、渉の視線外しに、阿行に至ってはもう見たくないと渉の背中に顔を埋めている始末。
同じ眼球のはずが、脳の認識が違うらしい。
「起き上がらんって、なんでなん?はっきりにしても……訳が分からんわ。後生どすから、説明してな、わたるんはん」
「溝出さんの体……骨の至る箇所に小さな紫の虫が張り付いています……」
言いにくそうに、でも説明するならばと渉は口を出したが、冬月にはやはり理解などできなかった。
溝出に虫などついていない。ただの壊れた骨。虫が湧くとしたらウジにしろ、ウジが喰らう肉は溝出にはないのに。


