「いつもの骨じゃない。骨なのに、変なのくっついてる……」
か弱い声をあげる阿行。渉とて、阿行が言いたいことが承知か後ろ手であやしてみせた。
「……。お二人には、どう見えるんどすえ」
そのやり取りが冬月には疑問だった。
二人とて溝出が死なないのを知っている。ただ動かないだけならば演技と達観してもよさそうなのに、二人は一目見ただけで分かったのだ。
冬月が認めたくはなかったことを。
「僕と阿行さんが視ているモノをあなたに理解などできませんが……、結論からして、溝出さんはもう……起き上がりません」
溝出を目を置くも、すぐに離す。見てはいけないものを見てしまったと目線を動かしたわけだが、冬月にはいつまでも見られるただの骨。


