その男子生徒に当たり前のようにおぶさる少女は白着物。他人におぶさるのが大好きなため、足を回しやすいようにと丈がミニなのは今風でも、着物という時点ですれ違い様にちらりと見てしまうだろう。
加えて、何故か少女はお面をしている。
「前着てた巫女服見たいなー、巫女さんモエモエ」
朗らかに語る顔を表現するお面。
( ̄∀ ̄)と書かれた顔文字お面だが、冬月の巫女服に僅かながらにニヤリとした気持ちを交えているようだった。
「阿行(あぎょう)はん、わたるんはん……」
「渉(わたる)です」
少女は阿行、男子はわたるん。困惑最中に来た人の名前呼びにしても、最近、阿行がつけた渉のあだ名が出回っているのだ。冬月がついわたるんと呼んでしまったことを渉は軽く訂正しつつも、冬月の足元に転がる骸骨を見て声を呑んだ。


