硬直したままの骨。人骨な分、本物の死体を見せつけられたように寒気もあった。
「嘘、やろ……」
懐疑に確信が迫るも、やはりそれはあり得ないと心で抵抗した。
なのに、思いと裏腹で溝出は起きない。眼窩の空洞が黄泉にでも繋がっているよう、正に“死んだ眼”。溝出の魂がこの奥に引き込まれたようだった。
「あれ、冬月君。どうしたんですか」
「ふゆっきー、今日は巫女服じゃないのー?」
溝出のことをどうしようかと困惑している最中にかけられた声。
自然と見れば、男子生徒とその背中におぶさる小柄な女子。
どちらとも冬月に負けず劣らずの時代錯誤ぶりな格好をしていた。
男子生徒側は学舎に相応しい、詰襟学生服の学生帽だが、あげくに黒マントをしていれば戦後学生でしかなく、現代社会からすれば違和感だらけ。


