それこそ、動かなければ死ぬ、ヒャッハーこそが存在意義だと騒ぐバカがこれほどまでに沈黙を決め込むのがおかしかった。
「溝出……?」
おかしさが嫌な想像を産む。
死ぬはずはないと驕っていた分、やりたいようにやり、それでもまた絡むザコキャラの相手をしたのに、今回に限って応答がない。
悲しむ前に懐疑が出た。
「ふざけるんやないどすえ。海水に放り込まれたいん?」
やはりこれは演技だと冬月は蜘蛛切りを溝出の眼窩に入れた。
眼球がないために、空洞を裂くことしかない行為だが、溝出にしてみれば、中に異物があると気持ち悪いことらしい。
こうすれば、ぎゃあぁと目覚めるとも思えど――こんなことをわざわざする冬月自身が、“無駄な足掻き”だと最初から分かっていたことだった。


