いびつだがしっかり霊力は宿ってそうだし、どこから入手したんだか。それとも手作り?
普段から霊符をつかっている私からすれば、順当な手順を踏まずに作られた滅茶苦茶な札は逆に厄介だったりする。
できれば手元に置いておきたくないな…
だからといって突き返すと余計ラミーさん、悲しみそうだ。
ひとまず貰っておいて…あとで術をつかってただの紙に戻して、それから師匠に焼いてもらおう。
「ありがとうございます。大切にしますね」
「ああぁそんなお礼なんて。あの…なんて謝ったらいいか…」
「そんな。気にしないでくださいって」
こういうのは信じたらダメだ。
負の感情や思い込みは本当に悪いものを引き寄せてしまう。
笑って弾いてやる! と胸をドンと叩いたが、おかしいな。
いやな汗は不思議と止まらない。
心臓がいやな音を立てるあたり、自分の弱さが垣間見えて悔しい。
…ただの占いだろうってのに。
とにかく、これ以上この人と話しても得ることはなさそうだ。
むしろラミーさんの私以上に傷ついた表情が心苦しい。
「じゃあ、私たち帰りますね」
「あっ…待ってください! ─あの。気をつけてください」
なにを? と訊くより早く。
ラミーさんの口ははっきり動いた。
「鬼には、気をつけて」
ぞくり、と。背筋を駆け抜ける悪寒は、どうして。
─このひとは、なに?
固く握った掌のなか、お札がぐしゃりと音を立てた。
・ ・ ・
「しっかし、失礼な占い師だったなー。気にすんなよな」
「ほんとよ。悪質ないたずらよあんなの」
「ちょっ、盛りすぎだから二人とも!!!」
飛鳥と秀くんは不服そうに文句を言ってはいるが、その手は休むことない。
ずんずん取り皿にお肉と野菜のタワーが出来上がっていく。
さすがにこんなに食べれません!
「いいから食べなさい。杏子は細っこいんだから」
「これ以上体重増えたらまずいんだけど…!?」
「なに言ってんだか」
聞く耳もたず…無念。
つやつやの肉汁が滴るおいしそうすぎるお肉たち。さすがにこの誘惑には勝てない。
ありがたく頂こう。
と、食べようとしたお肉が目の前からサッと消えた。
「ほぁあー!? 私の! カルビ!」
「あ? これ杏子のだったの」
「見たら! わかるでしょ!?」
信じらんない!
薫はけらけら笑って私の文句が飛び出す前にかぼちゃをねじ込んできた。
「…殺す気デスカ」
「うるさそうだったからつい」
「…はあー…」
まったくこの子は私の扱いが雑すぎやしないか。
