はらり、ひとひら。



困惑を顔に出してはいけないと思ってはいるけどさすがに無理だ。


「はっ…これは失礼。申し遅れました、ワタクシ、しがない占い師の"ラミー"と申します」


「ラミー…さん? って占い師…?」

「ええ、はい」

にっこり笑った人のよさそうな彼女は、一般的に想像する占い師とはあまりにもビジョンがかけ離れていた。

もちろんこんな田舎に占い師がくるわけがないから本物を見たのはこれが初めてだ。

ドラマや漫画で見る占い師といえば、もっとこう…ヒラヒラとか頭に飾りとかついてたような気が…?


「ねえ占わせてくださいよお! こうしちゃいられません、私アナタを気に入りました!」


…しわしわのスーツに、牛乳瓶みたいに厚い眼鏡。長い髪の毛をふたつに結わえたその恰好を占い師と呼ぶのには無理がある。

ていうかこの人声デカ…


「ねえ聞いてます!??」

「わああ待ってくださいわかりました! わかりましたから!! でも変な壺買わせたりするのはナシですよ!?」

そんなことしませんよとラミーさんは笑い飛ばした。

うう、早く帰ってお肉焼きたいんだけど…まあいいか。

騒ぎを聞きつけたのか後ろを歩いてた男子たちも気づけばすぐ傍に来ていて、主にわくわくしてるのが秀くん、怪しんでるのが薫と神崎くん。飛鳥に至っては勢いに圧倒されてドン引いているではないか。

大丈夫。私も同じ気持ち。


きつく握られて地味に痛かった私の手をさり気なく解かせ、神崎くんは優しい声でラミーさんに尋ねる。


「…あとで高額な金額、請求したりしませんよね?」

「そんな非道なことしませんよお、アナタたちのような未来ある若者に!」

ラミーさんは話しながら器用に占いの道具を一式机の上に並べて椅子に私を座らせた。
どこから出したのかは定かではない。


「そうですか。じゃ、どうせなら俺を占ってくださいよ」



へ。

今度こそ全員が目を丸くした。


「…神崎くん、占い好きなの?」

「あんまり信じてないけど、興味はあるよ。ねえ、いいですよね? 彼女あまり乗り気じゃないですし」


「…ん~?」


ラミーさんは想定外だったのか困ったように何度も首を傾げたり、あっちこっち自分の体を触ったり落ち着かないようだ。


「で、でもぅ…その、アナタみたいな美形さんは緊張しますから…」

「ちょっと待ってくださいそれ私」

遠まわしにブサイクって言いたいのか! このやろ!

ぶはっと吹き出した薫と秀くんを殴りたい。
地味に笑ってる飛鳥もゆるさない。


「椎名さんも充分美人だから、大丈夫。…どうしても駄目ですか?」

「!?」

「ううぅ…えーと、そのぉ…ま、また機会があればその時はイケメン君を占わせてくださいな~!」


歯切れ悪くごまかしたラミーさんにそれ以上神崎くんは何も言わなかった。

これだけ頼んでるんだから占ってあげればいいのに…。