大丈夫かなと支援に向かおうとした私の手を飛鳥が掴んで、「たぶんアイツなら平気」と呟く。
「でも……」
大丈夫よ、と飛鳥がふわりと笑った。
…ここは行方を見守ろう。
始めこそじろじろガンを飛ばしていた薫だが、警戒心がないと本能的に汲んだのか、しばらく時間が経つと表情が和らいだ。
あ…いつも私に対してする表情じゃん。
出会って数分しか経ってないのに、秀くんすごすぎるぞキミ。
あんぐり口を開けたまま呆けていると横から飛鳥の「顔、顔」という警告が。
「…な、何者??」
「ま。人と仲良くなるのが異様に得意なんでしょ、多分」
さらっと答えをくれたけどなんて羨ましいコミュ力。
私も、見習おう…
「捕獲完了。しっかし1コ下ってマジか、タメっぽい。どこ高?」
うお。それは聞かれたらマズい質問だ。
記憶がまだ戻ってないから、わかるわけない。
そして服装ももう少し考慮すべきだった。
今の薫の恰好は白いYシャツにグリーンのネクタイ、チェック柄のスラックスといったどこぞの制服といういでたちだ。
森で会ったときからこの服装だったから、薫はこれが安心するらしく好んで着る。
もちろん洗濯するときはお父さんのお古を着せているけど…
そもそも薫は本来、年も覚えていない。
見た目同い年といって違和感はないが言葉の端々に少し幼さがあるので、そこらへんを加味して年を訊かれたら17と名乗るように私が頼みました。
許されるべし、セブンティーン。
「? どした? 薫」
「えーっと…うん、薫…色々と高校大変だったみたいだしね? この話はやめにしよ!」
「え。そう? なの?」
お願い察して、と目で訴えると「そっかーごめんな!」と秀くんはアッサリ身を引いた。
察しがよくて助かった…。
「じゃあ、休憩もできたことだしそろそろ買い物行きましょっか」
「あ、コップ置いといていいよ私やる…」
「いいからいいから」
コップを洗う姿が頼もしい…
「く~長女め!」
「ふふ。杏子も長女でしょ」
「そうだけど、下にいる数が違うもん。手馴れてる!」
飛鳥の頼れる姉御っぷりはすごい。
「やだ。なに急におだてちゃってさあ~」
「疑ってるな? 本音だよ本音! ねっ神崎くん─」
