反省しつつ、気がかりなのは薫のこと。
早いとこ出てこないと気まずくなっちゃうぞ…?
もうこれは、私が連れて来なくちゃダメかなあ。うーん、てっきり玄関まで一緒に来てたと思ってたんだけど。
「椎名さん? どうかしたの?」
「あ! えーとさ、今日…もうひとり一緒にバーベキューしたいって言ってた子、いるって言ったじゃん」
思い出したように秀くんが「ああ」と声を上げる。
「どこいんの? いとこだっけ?」
「そ…そうそう! 迷惑じゃなかったらぜひ…」
「いいわよ全然。人数多い方が楽しいじゃない」
「俺も、いいと思う」
優しく賛同してくれるみんなにほっとする。
よかった。
よし。早いとこ連れてきてしまおう、と立ち上がったところでドアの磨りガラスに人影が映ったのが見て取れた。
じとーっと、生ぬるい温度の視線を送っているのがいやでもわかる。
「…あの子?」
飛鳥が若干引きつった笑いをもらした。
「あ、あはは…ちょっと人見知りみたいで…」
薫…頑張って…!
心の中でエールを送るが、待てど暮らせど薫はやって来ない。
だめだこりゃ。
諦めて私がドアを開けると、そのまま引っ張ろうとした薫の腕が先に伸びてリビングのドアを乱暴に閉めてしまった。あぶな!!?
「ちょっとー!? 指挟まれるとこだったじゃん!」
「……うるさい。やっぱ、なんかヤダ」
「えぇーーっ?」
薫は気に入ったおもちゃをとられた子どもみたいに、そっぽを向いた。
その顔は明らかに拗ねている。
誘ったのは私だけど、これほど拒絶されてしまうと心苦しいなぁ。参ってしまう。
でも、ここは大人の対応を心がけよう。
「…なんで嫌なの?」
「……」
「知らない人、怖い?」
「……気に入らない」
「なにが?」と問いかけたところで薫の金色の目が私を見つめた。長い前髪に隠れていない方の、ひとつだけの目。
吸い込まれてしまいそうな目力に気圧されて一歩下がると背中にドアノブが当たって、かちゃりと金属音がした。
…背中が冷たい。
