玄関先に立つ、待ち焦がれたみんなの姿。
「杏子! 久しぶりー」
「飛鳥~~! 会いたかったあぁ」
「ちょ、ふは、杏子! 苦しい苦しい」
友との再会が、嬉しくないわけがない。
ぎゅーっと飛鳥に抱き着くと、困ったように背中をぽんぽんされた。
「おーおー、おなごはキャッキャウフフ、熱烈ですなあ。ね、杏ちゃん、俺にもしてよ~」
「やだよ~秀くんの変態おやじ!」
冗談めかして言い返すと、飛鳥は声をあげて笑い、秀くんの隣にいる神崎くんも緩く微笑んだ。
どきん、と胸が鳴る。
「…久しぶり、椎名さん。元気そうで安心した」
「ね、ねーっ。久しぶりだね。会いたかったよ」
うお。会いたかった、なんて彼女でもないのに重くないかな、って言ってから後悔したが、すぐに「俺も」と言われて口から心臓飛び出すんじゃないかと思った。
あうう、幸せすぎる。
「と、とりあえず…上がります?」
「ん、そうね。ちょっと休憩させてもらってから買い物行く?」
「さんせー。あっ、オレ喉乾いた、お茶ちょーだい!」
「アンタはちょっとは遠慮しなさいよ…」
「…迷惑じゃないかな?」
神崎くんは夫婦漫才をしり目に、心配そうに問いかけてきた。慌てて首をぶんぶん横に振る。
「お母さんは夜までいないし、海斗も友達の家だし、なんもないけどゆっくりしてって」
「そっか…じゃあ、お邪魔します」
あんまり片付いてなくて申し訳ないけど…そこまでひどいわけでもないはず…
…あれ? そういえば薫は? 先にリビングにいるのかな。
が、予想を裏切り、リビングのドアを開けても薫の姿はそこになかった。
クーラーが冷気を吐き出す音だけが無機質に響く。
「杏子の家、いつぶりだろう! 相変わらず広いわねえ」
「オレはお初~」
「いやいやそんな。ごめんね、お茶菓子これくらいしかなくって」
「ありがとう。ごめんね、やらせちゃって」
「いいのいいの」
むしろもっと気を回してジュースでも買っておくべきでした…
