「…うん」
そうだ、夏休み明けに会える。受験生の40日なんてきっとあっという間。
にへっと笑ってみせると飛鳥からはぽんぽん撫でられ、秀くんからはぐりぐり脳天を押された。
夏空を仰ぐ。真っ青な深い色に綿を薄く千切って並べたような空。
神崎くん。今、どこで何をしているのかな。
…わかってる。全てを包み隠さず話すことが絆じゃないって。そもそも私と彼じゃ、抱えているものが違いすぎる。
住む世界だって違う。わかっていたのに。私が首を突っ込んでいい領分じゃないんだ。
だけどやっぱり…なんだかさみしいな。
私は彼と出会ってから随分欲張りになってしまったらしい、心の中で少し笑った。
あぁ、会いたいなあ─。
・ ・ ・
分かれ道で飛鳥と秀くんと手を振りしばらく歩いていると、白いふわふわの毛艶のいい小狐が足元に絡んだ。
「師匠。迎えに来てくれたの?」
「あほか。来るわけないだろう」
「はいはい」
抱き上げて腕に乗せ頭を撫でると本能には抗えないのか、師匠はゴロゴロ喉を鳴らした。
素直でよろしい。
