はらり、ひとひら。



「へ、変態じゃねーよ!」

「変態でしょ! 信じらんない、人が元気づけてあげようってときに!!」

何考えてんの、と飛鳥はため息を吐いた。なんだか夫婦喧嘩を聞いてるみたいだ。

思わずおかしくて吹き出すと、二人はそんな私を見て顔を見合わせたあと笑った。


口論に白熱して止めていた足も再び動き出す。


「旅行なー、いいかも。ワイハ? 水着美女?」

「あんたって相っ変わらずホント……そんなお金に余裕ないでしょ」

「うーん、国内がいいなー。西の方行きたい!」

私の言葉に飛鳥も賛同してくれた。だけど海も捨てがたい。

あれもこれも、とぽんぽん頭に案が浮かぶ。
みんなと一緒ならどこに行ったって楽しいもんね。


「ねえ、神崎くんはどこ行きた─」


ぱっと横を振り返った瞬間に、誰も隣にいないことを思い出した。


半歩前を行く飛鳥たちが驚いたように笑いをこぼす。


「今日も休みって言ってたじゃん、杏子ってば」

「会いたいからって脳内で召喚すんなよー」

「う…!」


恥ずかしすぎませんかねこれ。どうなってるんだ私の頭、ぽんこつすぎる。


「癖だったから…いつも右隣歩いてくれるの」


羞恥から下を向く。顔が熱い。


そのままてくてく歩くと頭にぽん、と体温を感じた。


「また始業式で会えるって」

「うんうん。心配ならお見舞いでもオレと一緒に行く?」


…そんなに浮かない顔してたんだろうか。私ってやっぱり顔に出ちゃうんだなと少しばかりまた情けなくなった。

たった二日会えないだけでこんなに寂しくなっちゃうなんて、末期だなと笑う。