不意に手のひらに温度を感じる。ひやりとした大きな手。
「へ?」
「よかった、あったかい」
「どうしたの神崎くん─、っ!?」
ばふりと彼が私の布団へ倒れてくる。タイム。首筋にダイレクトに息がかかってありえないくらい顔が近い。
くすぐったさに身をよじる。ちょっとほんとに待って! いかん変な声出る!
「っふ、ぇい!? かか、か、神崎くん!!?」
「…………」
無視…? いや、違う。
「ね、寝てる……」
まじっすか。え。ちょっと。好きな人が私の首元で寝ちゃったよ。若干圧し掛かられてるんですけど。
息するたびに動く胸元だとか少し空いた唇だとか、釘付けになってませんとも。ええ。
「よっぽどお疲れモード…?」
ここがどこかもわからないけど、きっと神崎くんのお家なんじゃないだろうか。
このお布団、神崎くんと同じ匂いがするし。ちなみに私は変態ではない。
寝てるし起こすのもなぁと起こさない程度に彼の頭を撫でさすった。
さらさらの髪に触れるたびにシャンプーの良い匂いがして、自分もこんな匂い醸してたらなぁと自分の髪を嗅ぐ。…無臭。匂いに慣れすぎてわからない。
「子どもみたい…」
無防備な寝顔に母性がむくむくと芽生える。たまらず両手で頭を抱きこむようにした。
なんていうかこの体勢、私も安心するけど軽く抱きしめてるみたいだ。
いきなり恥ずかしくなった私は申し訳なさと羞恥心を天秤にかけて後者が圧勝したため肩をゆすった。
「神崎くーん!! そろそろ起きてくださいませんかー!!!」
「ん……? まだ。だめ」
