「声…誰の?」
「最初は誰かわからなかった。でもどうしてだろう、その声に導かれるように行った先、灯雅が立ってた」
孤独な暗闇の道に一気に光がともって、明るい白い世界に反転した。
そして聞きなれた声が反響した。
神崎くんの声は冷静だ。だけどなんでか、その声色にはかすかな恐怖が滲んでいる…気がする。
「椎名さんの声だ。『消えろ』っていうはっきりとした」
「そ…れ、私、言ったよ。私も夢に捕らわれて、師匠が来てくれて、最後に脱出するために」
「!」
目を丸くする神崎くん。
どういうことだろう。彼と私はまったく違う夢を見ていたはずだ。なのにどうして同じタイミングで世界が壊れたのか。しかもなんで、同じ部屋で眠りこけていたんだ。
なにがなんだか考えてもわからない。
…だけどまあ、とりあえず。
「一安心…?」
頷いて彼は笑った。
「みたいだね」
「よかったああぁぁ…」
ばふっと布団に仰向けに転んだ。好きな人の前だとか、髪の乱れだとかもうちょっと気にする余裕がないです。
…あのまま夢の世界に取り込まれたままだったら、現実世界の私はどうなっていたんだろう。一生目が覚めない、幸せな夢を見続ける植物状態になったりしていたのか。
それは少し…いやだな。
