いやこんな状況であれなんですけどね。神崎くん、寝顔綺麗すぎて人間国宝。
こうやってまじまじ見ると本当に美形なんだなぁ…。なんだかちょっと、妬けてしまう。
「お人形さんみたい…」
「…っ」
私の声に反応したのか、彼はうっすら目を開けた。目が合うと状況が飲み込めていないのか、訝しげに私を見た。
「…椎名さん?」
「うん。本物だよ」
あ、でも神崎くんが夢の世界に閉じ込められてたとも限らないのか。
「夢…夢を見てた、ずっと。甘い、ずっと世界に留まらせようとする…」
杞憂だった。まったく一緒の状況だ。
「椎名さんがどこかへ行ってしまって、追いかけたら今度は家族がいて…最後はずっと、暗闇の中を歩き続けた、一人でずっと」
「家族…暗闇…って私、お邪魔しちゃったんだ」
変なこと言ってないといいけど。
「言ってた。面白かった」
ふっと笑った彼にえー!? と声をあげた。
「なんて言ってた!?」
「なんだっけ。色々あったから忘れちゃったよ」
そんなあ!
がっくし肩を落としていると、神崎くんはもう一度真剣な顔で私を見た。気圧されて私も佇まいを直し言葉に耳を傾けた。
「終わりのない暗闇をずっと歩いていた時、聞こえたんだ。誰かの呼ぶ声が。俺の名を呼ぶ声だった」
