「よかったじゃないか、お前のおかげで全体がリラックス出来ただろう」 鞄の端から、師匠は顔を出してくつくつ笑って見せた。 「そういう問題じゃなくない!?」 「初日が肝心だ。目立つためにはキャラづけが大事だ」 「こんなアホキャラ嫌だぁ~~!」 目立たなくていいし、時間を戻せるなら戻したいわ!下駄箱で師匠と小言を言い合っているうちにヒートアップして、私の後ろの人影にも気づかなかった。 「─落ちたよ」 静かだけどよく通る声にびっくりして振り向く。