はらり、ひとひら。



灯雅の優しさは、たまに胸に痛い。毒矢みたいに刺さっていつまでも熱を残して出ていかない。


「…殺すなんて言っちゃ駄目だ。婆様に聞かれたら」

「ふん、なんとなく気に食わないのさあの老いぼれは」

「まあまあ」

苛立った灯雅をたしなめる。

…あの人たちがいなければ今の俺はきっといないだろう。

亡き父と病弱な母に代わって育ててくれた伯母と婆様。


この家に生まれたこと、憎んでいないといえば嘘になる。だけど少なからず感謝もしている。


「やっぱりあんたは変わったよ。…笑顔が優しくなった」


そうだろうか。自分ではわからない。



「いやぁ出会った頃の主はすごかった。何考えてるかさっぱりで、正直不気味だったねえ」

「え。俺そんなイメージだったの…?」

「そりゃそうさ」


ケラケラ灯雅は笑った。

あまり覚えていないが、灯雅がいうならそうなんだろう。


「ちょっと、笑いすぎ。そんなに笑わなくても」

「あはは、ごめんごめん。おかしくって」


少しだけ気恥ずかしくむっとした。でも、と彼女は続ける。