「行って来ますっ」 真新しい鞄に、ぴかぴかのローファー。 「行ってらっしゃい、お母さんは後から行くから」 「うんっ」 桜は丁度、満開でいちめんピンクだらけ。 「─わっ」 一陣の風が私のスカートの裾と髪を巻き上げる。 ふと。 「っ」 今、おばあちゃんの気配がしたような気がした。 …考えすぎか。でも、お祝いしてくれているのかも。