斬っても突いても、バラバラになっても再生する呪具に正攻法は効かない。被害は最小限に抑えたかったゆえ最善策ではないが、俺の頭にひとつの考えが浮かんだ。
陣。
まず教室を陣の中心として、校舎全体に大掛かりな陣を描く。用意周到な妖のことだ、おそらく仕掛けられた罠はここだけではない。万が一、目を覚ました他の人間に飛び火でもされたら敵うもんじゃない。
呪具ひとつひとつを炙りだす時間もそうない─灯雅もまだ来てくれそうにない。
だったら、大胆に校内に仕掛けられた呪具すべてを吹っ飛ばそうという考え。
だけどそれは─あまりに危険か。別の方法を、と思った瞬間、矢野先生が飛び込んできた。
「先生…!?」
「よかった、やっぱいたんだな!…それでこれはどうなってる、って説明してる暇ねえよな」
どう考えても無理です。
「主様、憶測ですがこの人形は呪術で出来たものの類かと。呪具(じゅぐ)は持ち主が意図して壊すか、持ち主が死なない限り永遠に再生し続ける…面妖なものなのです」
雪路は氷の剣で襲いに来た人形を薙ぎ伏せるが、凍りついたそれはみるみる蘇る。
「それは…面倒だな。だが幸い動きは遅いみたいだ。……雪路、やれるか?」
「当然です」
「ははっ、百人力だ。ってことだ、神崎。頼んだぞ。─お前は偽・椎名を追え」
心臓が冷えていく思いがした。
「っ─でもっ」
