小気味いい音を立て現れる人形は、あらかじめ無数に教室内に設置しておいた。こうなることを加味して、だ。やはり母様の予見は外れない。
元はと言えばごく普通の日本人形だったそれらは、母様の望み通りあの男を呪い殺すだろう。
それにしてもおよそモノと言えないほど禍々しい気を発するそれに、少しだけ嫌悪感が湧き上がってしまう。
穢れた魂の呪具相手に、どれだけ祓い屋が足掻けるか─茶番を是非ともこの目で見たいが、生憎私の出番はここまでだ。
「あぁ、そうだ。校舎内の生徒たちは呪術の影響で眠っている。…だから安心して存分に、剣を振るうがいい!」
「っ、待て…!」
「人形たちのこと、よろしく頼むぞ。小僧」
「くそっ─」
忌々しそうに剣を薙ぐ小僧をしり目に、私は窓から飛び立った。
─さあ。目指すは化け狐のいる場所。
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【真澄side】
「神崎!」
聞き覚えのある声に目を見張る。
