「察しがいいのは褒めてやる。だが」
「……? っ」
手を振り翳すと呼応するように教室の扉が開け放たれる。祓い屋風情はご丁寧に他の生徒や教師に被害が及ばないよう、簡易な札で結界を張り扉を封じていた。
いや、私を捕まえる策も兼ねて、か。
「無謀だな。お前は私に勝てない」
「……」
「大事な大事な、友達の体だろう?傷つけて良いのか?壊してしまってもいいのか?」
あの子が戻って来れなくなるぞ、笑えば小僧は悔しげに唇を噛んだ。
ああほら、すべてが思い通り。
「落ち込んでるところ悪いけど、お前に構ってる時間はあんまりないんだ。代わりにこいつらの相手をしてやってくれ」
これで当分、小僧は何もできないただの人の子。
その隙に殺すのは─忌々しい白狐。
