「っ─」
視界を掠めた銀色は、抜き身の刀身。仮にも学友の体に、容赦なく得物を振り下ろす様子には感心せざるを得ない。
…忌々しい。思ったよりも早かった。話の通り、椎名杏子ほど馬鹿ではないようだ。
だがまだ、明かすには早い。もう少し時間を稼げ。内心ほくそえみながら、焦ったように取り繕う。
「か…神崎君、何するの?危ないよ」
「…ずっと変だと思っていた。しきりに辺りを気にしているし、笑い方もぎこちない」
「…」
静かな、鋭い眼光。
「……誰?」
「っ。ふ、…あっはっはっは!」
馬鹿らしい。口惜しい。怒りを隠さない声色に笑いが止まらない。
これでは肯定してる、と言ってるものだ。でも─
