はらり、ひとひら。



「私に恐れをなしたか。人間の雄は臆病だな」

「気にすることないよ。それより、その姿だとやっぱり、私以外の人にも見えるんだ」


さして驚かなかったあたり、お母さんは妖怪が見えないと言っていたけれど、そっち方面に多少は免疫があるのか。それともあの人が天然だからだろうか。どちらが正解かわからない。


でも…海斗はどうなんだろう。妖怪が見えるのだろうか。今までそういう話は一度も聞いたことがないけど、彼も桜子さんの血縁者であることに変わりはない。



「この姿はいわば仮の姿だな」

「仮・・・?」

「あぁ。妖力をお前に預けたろう。お前が妖力を供給しない限り、私はこのままの姿だ」


「つまり現在、私の身体にはほぼ妖力は無い。空っぽの状態だ。不本意なことだが、そのせいで他の人間の目にも映るようだ」


なるほど。