はらり、ひとひら。



「お前のことを気味悪がったり、
避けたりはしていないか」


「っそれはないよ!お母さんと海斗はいい人たちだもん、きっと話せば理解してくれる。絶対保証する」


「─そうか、安心した。お前、愛されているんだな」


優しい声にひどく心が揺らいだ。夕日に照らされ、オレンジ色に師匠の毛の色が染まる。



「だからきっと、師匠のこともわかってくれる、認めてくれる。家族として、迎えてくれるよ」


着替え終えて汚れた服を放り、寂しそうな背中を思わず抱きしめた。力加減を間違え「ぐえっ」と師匠は潰れた声を出す。


「…馬鹿か」


「へへ、寂しそうだったからつい」


「寂しいものか。だが」


暇つぶしにはなるか。そういうと師匠はごろりと喉を鳴らしたのだった。